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    ジャイアント・トらやん [2005]

    子供を守るロボット守護神

    《ジャイアント・トらやん》は、子供の守護神、「子供の夢の最終兵器」として制作された全長7.2mのロボット型の巨大彫刻である。腹話術人形をちょび髭、バーコード頭にし、《ミニ・アトムスーツ》(2003)を着せたキャラクター「トらやん」をモデルに巨大化させた。首や腰を回しながら、手を振って踊ったり、発光する目でまばたきして、口を動かして歌ったり、子供の声に反応して火を噴く。

    ヤノベケンジは、2004年に開館したばかりの金沢21 世紀美術館に併設されたプロジェクト工房で半年間の滞在制作を行い、地元の市民や学生たちと共に「子供都市計画」を立ち上げた。ヤノベが制作した子供専用の映画館《森の映画館》(2004)をモデルケースとして、若いアーティストや学生たちが子供サイズの電車、市役所、ディスコなどを構想し、子供のための未来の街を創り上げていくプロジェクトであった。

    《ジャイアント・トらやん》は、21 個目のパビリオンであり、子供都市のシンボルである巨大な守護神像として制作された。その際ヤノベは、誰もが制作に携われるように、発泡スチールの原型に樹脂を張り込み、その上にアルミニウム板をリベット留めしていく手法を採用し、集団制作の方法を確立させていく。お披露目展「子供都市―虹の要塞」では、子供の「怒れ!」の命令で口から火を噴いた。

    2005 年、豊田市美術館での個展「キンダガルテン」では座像から2 本足で立つ立像となった。さらに、 美術館館内で火を噴くという前代未聞のパフォーマンスを実現した。その後、青森、横須賀、鹿児島、タイ、六本木などを巡回する。

    2009 年の「水都大阪2009」では「トらやんの大冒険」と称し、ヤノベは自身の作品を集結させる。第五福竜丸をモチーフとする《ラッキードラゴン》(2009)を河川で周遊させ、《ジャイアント・トらやん》は大阪市役所に展示した。2011年には東日本大震災で落ち込む京都芸術大学の学生たちを励ますために、大学内の吹き抜けのギャラリーに学生と一緒に立ち上げた。その後、大阪の大型アート収蔵庫MASKで地域住民に親しまれてきた。

    そして、2022年に開館した大阪中之島美術館に収蔵され、館内で常設展示される。これからは美術館と子供を守る守護神として、新しい役割を果たすだろう。

    Giant Torayan
    • Giant Torayan
    • ジャイアント・トらやん
    • 制作年 2005年
    • 素材 アルミニウム、鉄、真鍮、FRP、発泡スチロール
    • サイズ 720×460×310cm
    • 所蔵 大阪中之島美術館

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