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    サン・シスター(リバース)

    美術館への転生と再生

    《サン・シスター(リバース)》は、1922年に竣工した銀行建築を改修し、大原美術館の新館として暫定的に開館するために設置された巨大な少女像である。《サン・シスター》(2014)が、「転生」と「再生」をテーマに生まれ変わった。

     

    大原美術館は、本館、分館、工芸館・東洋館などを擁し、西洋や日本の近現代を主とした総合的な美術館である。今回、大原美術館の創設者、大原孫三郎が設立した銀行の建築、旧中国銀行倉敷本町出張所の寄贈を受け、新たに初期に作品収集を手掛けた画家、児島虎次郎の絵画や古代オリエントの美術品を収蔵・展示する「新児島館(仮称)」を開館する予定だった。しかし、コロナ禍のため資金不足に陥り延期となった。

    ヤノベケンジは2009 年、大原孫三郎の本宅の隣にある別邸、有隣荘で「ヤノベケンジ 幻燈夜会」展を開催している。大原が辰年で、建物の随所に「龍」の意匠を取り入れていたことと、児島虎次郎の「虎」にかけて、《ラッキードラゴン》(2009) や《トらやん》(2004)などによる大規模なインスタレーションを行った。その際ヤノベは、彼らのオマージュとして、龍が抱える巨大なガラス玉に、「再生」をテーマにした映像が流れる《幻燈夜会-有隣荘》(2010)を制作している。2013 年には、大原美術館の特別展「Ohara Contemporary」で《サン・チャイルドNo.2》(2011)を展示した。

    大原美術館と深い交流を続けてきたヤノベは、新館の正式開館前に一般公開するために何かを展示したいという依頼を受け、建物の「転生」と、大原美術館や倉敷の「 再生」を願い、何度でも蘇る火の鳥・不死鳥をモチーフに《サン・シスター(リバース)》を制作した。

    《サン・シスター》は、2015 年に兵庫県立美術館前に屋外常設タイプが設置され、2014年に制作された稼働するタイプは、花の衣裳をまとった《フローラ》(2015)として「転生」し、人気を博してきた。

    《サン・シスター(リバース)》は、京都芸術大学や福島の学生たちと共同制作した龍や麒麟などの霊獣、守り神のレリーフを衣装にまとい再び「転生」した。座って瞑想した後、スカートの下に羽根を垂らし、飛翔して「再生」するように立ち上がる。その姿は、コロナ禍を乗り越える力を与え、倉敷の人々に明るい兆しを届けるだろう。

    Sun Sister (Rebirth)
    • Sun Sister (Rebirth)
    • サン・シスター (リバース)
    • 制作年 2021年
    • 素材 FRP、鉄、油圧ポンプ、他
    • サイズ 400~560×400×400cm
    • 所蔵 

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