Kenji Yanobe “船仔貓 SHIP’S CAT in Pingtung”
会期:2023.8.19 – 11.19
会場:屏東海口港 看海美術館(屏東、台湾)
◆本展について
ヤノベケンジは大阪出身の日本の現代美術作家です。少年時代に見た、大阪万博(EXPO’70)のSFのような建築物が廃墟となった光景が、創作活動の原風景となりました。1997年、原発事故後のチェルノブイリに、自作の放射能防護服を着て訪問し訪問するなど、過酷な時代を生き抜くことが作品のテーマです。台湾では初の作品発表となる本展では、2017年より制作している《SHIP’S CAT》シリーズをメインに、ヤノベケンジの創作世界を紹介します。
《SHIP’S CAT》シリーズは、日本で最初に港がつくられた福岡にインスピレーションを受けて制作し、世界各地で展示されている重要な作品です。「SHIP’S CAT」とは、大航海時代に人々と旅を共にした船乗り猫のことです。食料や貨物を食べ、疫病を流行らせるネズミ退治のために猫も世界中を旅しました。人々の相棒として頼りになる乗組員だった猫、また未来を占う神様のようにも扱われた猫をモチーフに、ヤノベケンジは《SHIP’S CAT》シリーズの制作を始めました。未来の旅をイメージして、《SHIP’S CAT》は宇宙服や潜水服のようなスーツを着ています。このシリーズはヤノベケンジの作品造形の特徴がよく表れていると同時に、人々を癒し、励ます作品でもあります。
大阪中之島美術館にある《SHIP’S CAT (Muse)》は大阪で最も人気のあるパブリックアート作品の一つとなっています。《SHIP’S CAT》と大阪万博会場跡地の《太陽の塔》(岡本太郎作)、中之島の《青いリンゴ》(安藤忠雄作)、は「大阪三大アート」と言ってよいでしょう。今回、台湾屏東の個展に出品されるユニークな作品群により、台湾の観客は、目と心の旅に出かけることができるでしょう。
2023 年、台湾最南端の屏東車城海口港にある看海美術館(Seaside Gallery)において、観客はヤノベケンジの《SHIP’S CAT》と出会うことで、心を癒すエネルギーが伝わります。巨大な猫の彫刻である《SHIP’ S CAT》は鮮やかな朱色で注目されていますが、《SHIP’S CAT》も観客を見つめています。海口港と大阪の《SHIP’S CAT》のイメージが融合し、訪れた観客は異国の海洋文化と漁港の雰囲気を存分に楽しむことができるでしょう。
◆ 主な出展作品
《 SHIP’S CAT (Ultra Muse) 》 2023
《 SHIP’S CAT (Figurehead) 》 2023
《 SHIP’S CAT (Crew/White) 》 2023
《 SHIP’S CAT (Crew/Red) 》 2022
《 SHIP’S CAT (Crew/Black) 》 2023
《 SHIP’S CAT (Speeder》 2023
《 SHIP’S CAT (Mofumofu 22)》 2022
《 赤漆舟守祝猫 》 2021
《 黒漆舟守歩み猫 》 2023
《 黒漆宇宙眠り猫 》 2023