二つのラッキードラゴン [2009-2010]
50 年目の邂逅
「水都大阪2009」の際に制作された《ラッキードラゴン》と《ラッキードラゴン構想模型》(2009)が2010 年、福島県立美術館で開催される「胸騒ぎの夏休み」展への出品を要請された。
《ラッキードラゴン》は1954 年、米軍がビキニ沖環礁で行った水爆実験によってマーシャル諸島近海を操業中に被爆した遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」をモチーフにしたものである。
福島県立美術館には、同じくこの事件を題材にしたアメリカ人画家(ユダヤ系リトアニア人移民)、ベン・シャーンの《ラッキー・ドラゴン》(1960)の連作のコレクションがあり、二人のアーティストによる「ラッキードラゴン」が50年の月日を経て邂逅することになった。
事件が風化し、核や原子力の警戒感が失われていく中企画されたこの展覧会もまた「胸騒ぎ」というタイトルを体現するかのように、2011 年3月11日の東日本大震災によって起こった福島第一原子力発電所事故を予兆するものとなった。